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「哲学者」というよりも「カウンセラー」っぽい:『吾輩は猫である』③



『吾輩は猫である』

夏目漱石




この小説…では…



その…「吾輩」ニャンコの「主人」の家に

次々と
『客』が訪れます





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「明治村」の夏目漱石の住居 撮影:2023年3月31日


ここが…👆

「吾輩」ニャンコの「主人」の家



夏目漱石が
『吾輩は猫である』を執筆した「猫の家」



漱石が住む13年程前には
森鷗外も住んでいました






『吾輩は猫である』…は




「吾輩」ニャンコの…「主人」の日常生活を

「吾輩」ニャンコの「眼👀」で観察している…


小説です






――ブログ――







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「明治村」の夏目漱石の住居 撮影:2023年3月31日



「猫の家」には…座敷があり



『訪問客』は

この座敷に通されたのでしょう




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「明治村」の夏目漱石の住居 撮影:2023年3月31日



座敷で…

『客』に応対する「主人」の様子を



「吾輩」ニャンコは…


そばで…ジッと🙀観察していたーーと思われますーー😁ーー






。。。。。






その日…


「吾輩」ニャンコの「主人」のトコロに

「珍客」が来た





その「珍客」のコトを…


「吾輩」ニャンコは

「哲学者」と呼んだ





 その次に来たのが――主人のうちへこのくらい客の来たことはない。交際の少ない主人の家にしてはまるでうそのようである。しかし来たに相違ない。しかも珍客が来た
(中略)
迷亭の美学者たるに対して、吾輩はこの男を哲学者と呼ぶつもりである。なぜ哲学者というと、何も迷亭のように自分で振り散らすからではない、ただ主人と対話する時の様子を拝見しているといかにも哲学者らしく思われるからである。これもの同窓と見えて両人とも応対振りはしごくけたありさまだ。

引用p296
『吾輩は猫である』夏目漱石

角川文庫
発行:昭和54年43版










「吾輩」ニャンコの「主人」は…

この「哲学者」に

愚痴るんだ






ぼくは不愉快で、

かんしゃくが起こってたまらん。

っち向いても不平ばかりだ






すると…

「哲学者」は…次のように言う





不平もいいさ。不平が起こったら起こしてしまえば当分はいい心持ちになれる。人間はいろいろだから、そう自分のように人にもなれと勧めたって、なれるものではない。は人と同じように持たんと飯が食いにくいが、自分のパンは自分のかってに切るのがいちばん都合がいいようだ。上手な仕立屋で着物をこしらえれば、着たてから、からだに合ったのを持ってくるが、下手裁縫屋あつらえたら当分は我慢しないとだめさ。しかし世の中はうまくしたもので、着ているうちには洋服の方で、こちらの骨格に合わしてくれるから。今の世に合うように上等な両親が手ぎわよく生んでくれれば、それが幸福なのさ。しかしできそこなったら世の中に合わないで我慢するか、または世の中で合わせるまで辛抱するよりほかに道はなかろう。

引用p297-p298
『吾輩は猫である』夏目漱石

角川文庫
発行:昭和54年43版







「主人」の…『愚痴』=『不平』に対して

「哲学者」の…返しは…






不平もいいさ。


不平が起こったら起こしてしまえば当分はいい心持ちになれる。




「哲学者」は…

「主人」の『不平』=『思い』を

否定しない





不平が起こったら起こしてしまえ…と言う






ただし…

そのあとで…


「不平を起こすのはクダラナイコトだよ」と思わせるような「言葉」を


付け加えてる






人間はいろいろだから、


そう自分のように人にもなれと勧めたって、

なれるものではない。




で…

解決策は…2つ




解決策世の中に合わないで我慢するか、

解決策または世の中で合わせるまで辛抱するよりほかに道はなかろう





ま…フツー

世の中が「一個人」に合わせてくれるワケないし~



だから…

我慢するしかない…けど…我慢はしたくない…😢…






で…

「主人」は言う



「しかしぼくなんか、いつまでたっても合いそうにないぜ、心細いね」

「あまり合わない背広を無理に着るとほころびる。けんかをしたり、自殺をしたり騒動が起こるんだね。しかし君なんかただおもしろくないと言うだけで自殺はむろんしやせず、けんかだってやったことはあるまい。まあまあいいほうだよ」

引用p298
『吾輩は猫である』夏目漱石

角川文庫
発行:昭和54年43版






「哲学者」は言う


あまり合わない背広を無理に着るとほころびる。



「がまんしすぎちゃ…いけないよ」と言ってる






コノヘンのくだり…スゴイ😲と思うんだ



ナニがスゴイって…





現代にも…

十分すぎるほど通用する
アドバイスの「仕方」なんだ







「哲学者」は…さらに…言う



がまんしすぎると…


けんかをしたり、自殺をしたり騒動が起こる





で…

「哲学者」は…「不平」を言う「主人」を

ほめてやるんだ





君なんかただおもしろくないと言うだけで

自殺はむろんしやせず、
けんかだってやったことはあるまい。


まあまあいいほうだよ





「哲学者」は…

「主人」の『思い』や『行動』を
いっさい否定しない


ソレドコロカ


いいほうだよ


ソーほめてやるんだ





このやりとり…

私は…感心してしまった






まるで~

「カウンセリング」っぽいよね~







「吾輩」ニャンコが「哲学者」と呼ぶ「珍客」


「哲学者」…というよりも


「カウンセラー」のようなかんじがしてきた







「ところが毎日けんかばかりしているさ。相手が出て来なくってもおこっておればけんかだろう」

「なるほど一人けんかだ。おもしろいや、いくらでもやるがいい」

「それがいやになった」

「そんならよすさ」

「君の前だが自分の心がそんなに自由になるものじゃない」

「まあ全体何がそんなに不平なんだい」


主人はここにおいて落雲館事件を始めとして、今戸焼きから、ぴん助、きしゃごそのほかいあらゆる不平をあげて滔々と哲学者の前に述べ立てた。

哲学者先生は黙って聞いていたが、ようやく口をいて、かように主人に説き出した。

引用p298
『吾輩は猫である』夏目漱石

角川文庫
発行:昭和54年43版






「主人」が

けんかばかりしているさ

ソー言うと…



「哲学者」は…

いくらでもやるがいい

コー言う



で…「主人」が

それがいやになった

ソー言うと…



「哲学者」は…

そんならよすさ

コー言う





すべて
肯定するんだ


「ソレじゃ、ダメだよ」とは…一切言わない




で…

とうとう「主人」は…

「不平」を話したくなる



「君の前だが自分の心がそんなに自由になるものじゃない」



ココで…はじめて

「哲学者」は…たずねるんだ



「まあ全体何がそんなに不平なんだい」



むりやりに

話させるんじゃなくて…



話したい❕

聞いて



そんな『思い』が募った

ソノトキに💨


「まあ全体何がそんなに不平なんだい」


コー言うワケ




話したい❕人間からしたら…



待ってましたっ♥



聞いて聞いて


ってかんじだよねーー😁ーー





主人はここにおいて
(中略)
あらゆる不平をあげて滔々と哲学者の前に述べ立てた。




「主人は」…

思い存分…「不平」を述べるんだ





哲学者先生は黙って聞いていたが、

ようやく口をいて、かように主人に説き出した。




「哲学者先生」は…

「主人」の「不平」を

黙って聞く



そして…
「主人」の話が途切れたトコロで…

話し始めるんだ








まるで~

カウンセリングみたい😲







ソー思ったトキ…

トンデモナイコトに…気づいた







夏目漱石の時代…😲


漱石は…




「カウンセリング」の概念って…


「非指示的カウンセリング」って

知らなかったんじゃないかしら❓






【非指示的カウンセリング】
ロジャースが1942年に提唱した


夏目漱石が亡くなったのは…
1916年




夏目漱石
1867年生-1916年没


カウンセリング

心理相談のこと

健常なクライアント(来談者)がいだく心配、悩み、苦情などを、面接、手紙、日記などを通じて
本人自身がそれを解決することを援助する方法。
精神医学では、しばしば精神療法と同義に用いられる。

積極的に忠告や説得を与える指示的カウンセリングと
それを与えない非指示的カウンセリングとがある。



【非指示的カウンセリング】

ロジャースが1942年に提唱したもので、
クライアント中心に話合いを進め
クライアントの発言に対する一切の評価判断を差し控え、
カウンセラーとの間に受容的、許容的な雰囲気をつくり、
クライアントが自己洞察を深め、
人格的に成長することにより精神的問題を克服していくのを援助する
(後略)

引用:ブリタニカ




。。。。。





夏目漱石や
森鷗外が


スゴイ…😲…


そう思うのは…


今読んでも…

その「考え方」や「登場人物」が

古くない



イヤ
ひょっとしたら…🤔…


まだ…

現代人が…追いついてないかもしれない




夏目漱石の
『三四郎』の
美禰子

今現代に生きていても
違和感ない…女性だよね…




森鷗外の
『高瀬舟』ナンテ…


弟の自殺
自殺幇助
殺人罪


今…現在…ものすごく話題になってる事件が…アルよね…





『山椒大夫』の話だって…


安寿たちが舟に乗った…とされる日本海側の海岸

行ったことがアル…


安寿たちは…ココで舟に乗って…ドコに連れていかれたのかしら❓

この海の向こう…って…ドコダローー❔


ソーー思いながら
その海岸から~~海の彼方を眺めた時~


ゾクッとしたーー



その海の先には…朝鮮半島があるんだ…

北と南に分かれてる国が…あるんだ


安寿たちは…ホントは…

ソコマデ
連れていかれたのかもしれない





昭和の…
平成の…
令和の現代人は…


明治の
森鷗外や夏目漱石に
追いついてないかもしれないーーー😔ーーー






=つづく=








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