究極の芸術作品を追求した物語?幸田露伴の『五重塔』:「宇太郎」文学散歩㉓
- 2021/12/18
- 00:05
幸田露伴『五重塔』…を建てた大工の十兵衛
システィーナ礼拝堂…を描いたミケランジェロ
妥協しない
作品への取り組み方
芸術作品へのこだわり
2人は…似ていると思いました
芸術家だと思いました
幸田露伴の『五重塔』の主人公=十兵衛は大工…だけど
ミケランジェロ…みたいな芸術家…だと思いました
大塚美術館のシスティーナ礼拝堂(ヴァチカン)の壁画 ミケランジェロ作
撮影:2018年12月30日
在りし日の谷中・五重塔の写真=幸田露伴『五重塔』のモデル
撮影:2016年10月10日
。。。。。
十兵衛が建てた…五重塔
五重塔再建の仕事は…
大工の親方が請け負うハズの仕事🔨でした
それなのに❕
自分の腕で
最高の五重塔を建てたいっ❕
ソンナ一途な思いダケで
五重塔のお寺の和尚さんに直談判に行くのです
そして…
自分が造った五重塔の~ミニチュアを見せるのです
十兵衛の女房は
親方が怒るかもしれない...

そう心配して
ソンナ~十兵衛の行動に
ヒヤヒヤするワケです
十兵衛は大工の腕・才能&能力はあるけど
世渡りがヘタ…な人物…として描かれています
本来なら
今後の人間カンケーを考えて
親方に遠慮するトコロ…
そういう配慮はデキナイ人…なワケです
和尚さんは2人=親方と十兵衛を呼んで
説経を聴かせます
和尚さんは…
結論は言いません
和尚さんは…
2人で話し合って
考えさせようと
思ったのです
親方も悩み…
十兵衛にムカツキながらも…
…

「大人」の対応を考え…
自分の方から十兵衛の家に~
~行くのです

そして…
ナントカ…自分の気を静めながら
五重塔は二人で建ちょう、
我を主として
汝不足でもあろうが副になって力を仮してくれまいか
そう…提案するのです…
そんな親方に対して
十兵衛は…
どうも十兵衛
それは厭でございまする😢
そう……正直に…こたえるのです
ピュア
ですねーーー

自分の気持ちに
ウソがつけない…人なのです
親方様堪忍して下され、我が悪い、
塔を建ちょうとはもう申しませぬ、
(中略)
一ツの仕事を二人でするは、
よしや十兵衛が心になっても副になっても、
厭なりゃどうしてもできませぬ、
親方一人でお建てなされ、
(引用:『五重塔』幸田露伴)
トーゼン



親方は怒って帰ってしまうワケです
親方が帰ったあと…
十兵衛の女房は
ね...お願い...親方様のいわれた通りにして...

そう…十兵衛を口説きます
親方様は怒らする
仕事はつまり手に入らず、
夜の眼も合わさず雛形まで製造えた幾日の骨折りも苦労も無益にした揚句の果てに
他人の気持を悪うして、
恩知らず人情無しと人の口端にかかるのはあまりといえば情けない、
(中略)
思案し直して親方様の御異見につい従うては下されぬか、
(引用:『五重塔』幸田露伴)
十兵衛は女房に…述懐します
十兵衛は仕事に手下は使おうが助言は頼むまい、
桝組も椽配りも我がする日には我の勝手、
どこからどこまで一寸たりとも人の指揮は決して受けぬ、
善いも悪いも一人で背負って立つ、
(引用:『五重塔』幸田露伴)
十兵衛にとって
五重塔の建設は…
他人に忖度したり
妥協したりしないで
自分の思い通りに


建てたいのです
十兵衛は…
五重塔に関わる仕事がしたいんじゃない...
他人の仕事の寄生木になって五重塔を建てたいんじゃない...
五重塔を建てた…という名声とか
五重塔を建てた…という賃金とか
ソンナモンがほしいのではない
五重塔は
百年に一度、一生に一度建つものではない
五重塔を建てるコトは
大工となって生きている生き甲斐


建てたいのです
でも…
十兵衛は…
親方に正直な気持ちをこたえた後で…悩むんです…😅
女房に述懐したときも…
汝も定めてわからぬ奴と恨みもしょうが
堪忍してくれ、
(引用:『五重塔』幸田露伴)
と謝ったりします
コノヘン…
ナントナク…
…

ミケランジェロよりも
やさしいーー
気がする(笑)
トイッテモ…
ミケランジェロについては…
自分で調べたワケではなく😅
大塚美術館では…
「作品鑑賞ツアー?」があって
たぶん…不定期❓の…ボランティアの方❓
そのツアーに申し込むと…
ガイドの方が案内をして
作品の説明をしてくださいます
その~ガイドの方のお話を聴いたダケなので
少々~
~のりちゃんの妄想話が入っているかもしれません😁

――大塚美術館のブログ――
結局…五重塔は
十兵衛が建てるコトになったのですが…
おもしろくないのは…
腹が立ってしょうがないのは…
親方の女房や
親方の子分たちで…
十兵衛のコトを
我慢のならぬ憎きヤツ









そう言って
十兵衛を
襲いに行くのです
ボコボコにするのです
十兵衛は…
斬りつけられ🔪…大怪我をします
十兵衛が…
大工仲間から人望がなかったのは…
付き合いが悪かったからです
付き合い…というのは


仕事が終わると
仲間と付き合わずに…
寄り道せずに…
まっすぐ家に帰るのです
十兵衛の息子は…
十兵衛の大工の仕事を真似て
五重塔を作って遊びます
母様これを見てくれーーー💛
と言ったりするくらいですから
十兵衛に懐いていたんでしょうね~
息子の五重塔=板の切れ端を積んで現然と真似び建てたる五重塔
(引用:『五重塔』幸田露伴)
こんな夫で父親ですから
奥さんからしたら
ナントモ
人間的には
いいーーHusbandですよねーーー
十兵衛は…
襲われて…
ボコボコにされて…
大怪我をした翌朝も
いつものように起きて
五重塔を建てに出かけようとする
傷口がまだ開いているのに

女房は
トーゼン
止めるワケです
まあ滅相な、
ゆるりと臥んでおいでなされ、
今日は取りわけ朝風が冷たいに破傷風にでもなったら何となさる、
どうか臥んでいて下され、
(中略)
せめて疵口のすっかり密着くまで沈静いて下され
と
ひたすら
とどめ
宥め
慰め
(引用:『五重塔』幸田露伴)
出かけようとする十兵衛の体を案じて
ひたすら
なだめる奥さんに対して
十兵衛は駄々っ子のように
余計な世話を焼くなっ

服を着せてくれ~い
ソレはいらないっ
邪魔っ


奥さんと言い合いになるワケです
ケッコー
かわいらしい(笑)
。。。。。
幸田露伴の『五重塔』のストーリーは…
谷中の五重塔が
1772年の大火で消失
1791年に再建
コノ1791年の再建がモデルのようです
しかし…その後…
1957年(昭和32年)
放火により
消失しました
私は…実は…タイヘンな勘違いをしていて…

この…昭和の放火
は…

幸田露伴の小説『五重塔』に触発されて
放火したのだと思っていた...
つまり…
幸田露伴の小説『五重塔』は…
放火による焼失で…物語は終わる…と思っていたのです
ところが💡......
いつまでたっても放火されない





次回はいよいよネタバレに
=つづく=
――野田宇太郎の後追い「文学散歩」――
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